サイゴン忘れ形見 | 青パパの無限増殖ver.187

サイゴン忘れ形見

帰国してリハビリの一週間が過ぎ。友人と車で小田原へ行く約束を。寝ぼけ眼でシャワーを浴び、自販機の前でジーパンポケットを探ると、少額の硬貨がぼろぼろ。500、1000、2000、5000と揃い踏み。
初乗り12000~15000のタクシーで使えばよかったのに…支払いは何故か、50000、100000紙幣ばかり。ムイネーではホテルの支払いに500000を使いましたが。大遅刻した空港でお姉さんがベトナム航空の職員に手渡していたような。
0の多さに圧倒されず、価値がその数に比例しない現実に順応していく。数年前と紙幣の外観は異なるものの、物価に関しては急激な変動が見られない訳ですから。
紙幣と硬貨が同時に流通していてもさしたる違和感はなかったのは不思議。在住の友人諸氏は硬貨が溜まって困る、とぼやいていましたが。
五百円硬貨が登場した当時を今は亡き祖母より、小遣いとして貰い、赤いバイクの貯金箱に入れていた純粋さが愛おしい。偽造硬貨に注意する必要にも迫られず。
少額硬貨だけなら偽造の危険性は少なく。自販機も見当たらなければ尚更。高額紙幣のプラスチックの手触りはタイを思わせ。去年と同様、五千円程度の外貨がまた手元に…両替は計画的に。
伊坂 幸太郎
アヒルと鴨のコインロッカー