いつもの場所 | 青パパの無限増殖ver.187

いつもの場所

谷 郁雄, ホンマ タカシ
自分にふさわしい場所
何年経っても戻るべき場所はあるのだと、認識させられる旅。デ・タムに泊まるのはかなり抵抗を感じましたが。
いつものカフェでコーヒーを飲みながら、オープンしたばかりでクリームの色彩が鮮やかなそのホテルの前にあいのりワゴンが駐車しているのを幾度となく見掛けたのは、SちゃんMちゃんと出会った前後のはず。一時帰国した際、ホーチミンの映像も見ましたし。
もとよりなじみのカフェは2階続きのビリヤードバーに変貌し、面影らしきものすら見出だせない。周囲は看板や内装のデザインが洗練されているにしろ、記憶は辿れるのに。
感傷的な気分で拒絶していた割に、友人諸氏と待ち合わせ行動するには便利なロケーション。エレベーターが故障して狭い階段を昇り降りするのもベトナムらしい、と寛容にもなれる。
歩いてすぐのSカフェで女性オーナーとその長男に挨拶して、昔みたいに入り口近くの席で待ち合わせ。2階は改装され、天井が高くなり、テラスからデ・タムが見下ろせる。頼りなげに日常を過ごしていた自分の影を探すように、熱っぽい通りを彷徨う視線。
多くの言葉を交わさなくても折りにふれて戻るべき場所がある。周りを包む優しい空気が訴えてきて。