昼さがりにビアサイゴンを
- 阿刀田 高
- 奇妙な昼さがり
遅れてI君、Nさんが来店、前日も前々日も飲んだという三人に負けない?ようサイゴンビールがテーブルに居並ぶ。
Mさんが以前ニャ・チャンで働いていた店は、アルキストが訪れていたりして、タイムラグはあるものの、世界は縮小しつつあるのか。
料理がひと通り出揃ったところで飲みに参加。雨は静かに降り注ぎ、お客さんが階段を昇ってくる予兆もない。たまにカウンターの外に出て話の輪に加わると、普段は見えない視線が浮き彫りになるのがわかる。
Mさんの人となりをAちゃんから聞いた話と照らし合わせるような展開。サイゴン脱出後の旅行でのエピソードやつい最近の出来事まで。昼から飲んでいる割に雨の憂鬱に圧されテンションが上がらない私は、いつもの如く?聞き役に徹する。
昼休みに入っても終わる気配が見えない宴、酒好きが集まるとつまみなんて二の次、途切れない会話がその証。