柏尾川の鯉・鳩にポップコーンを | 青パパの無限増殖ver.187

柏尾川の鯉・鳩にポップコーンを

暖かな陽射しが降り注ぐ土曜日の昼下がり。土曜出勤の帰り道に立ち寄って下さったNさんと柏尾川散策。
途中、MEBAEさんの前を通り、挨拶。静謐に充ちた空気を擦り抜け、図書館前のコンビニへ。夕方までのつかの間のひと時、温まったポットから、湯気が微かにたつくらいそっと言葉を交わす。川辺の鯉、鳩にあげる(投げる?)キャラメル味のポップコーンを一袋頂く。
対岸にLOPOを見つつ、視線を下ろすと数年前、花見をした川原に親子連れ、カップルがちらほら。橋を渡り、鳩が集まるコンクリートの空間へ足を踏み入れる。
おもむろに袋を破り、人の気配に驚く仕種を微塵も見せない鳩をつま先に感じ、波立たない川を漂う鯉の群れ、と交互にひとつかみずつ、ポップコーンを。
甘い香に包まれて間もなく、友人から電話。
「何だか元気ないけど、大丈夫なの?」
水面を揺らす大振りの鯉の口元、ポップコーンのかけらを啄む鳩のくちばし。見えない友人の唇を頭に思い浮かべながら、軽く深呼吸。声が届くまでもう少し。

井伏 鱒二
井伏鱒二全集〈第18巻〉還暦の鯉・駅前旅館