或いは「アニーホール」 | 青パパの無限増殖ver.187

或いは「アニーホール」

「私を会員にするようなクラブには入りたくない」
大写しになったウディ・アレンが独特の言い回しでグルーチョ・マルクスのジョークを投げ掛け、「アニーホール」の幕は上がる。
証券取引法違反容疑で強制捜査を受け、連日マスコミを踊らせる、その会社は入会したばかりの財界クラブに同じジョークを投げ掛けたかったのかもしれません。
鋭角に下落した株価、同時に失われた(かのように思える)時価総額について、単なる非現実的数字以外の感想を引き出せない見出し、映画館の待合室で蘊蓄を語る大学教授の前にマクルハーンを引き合わせたい。メディアは抱え込んだ権力を表層だけでのみ行使し、危ういデマゴーグ或いは一過性のアジテーションを垂れ流しているに過ぎない、と。
小出しで提供される検察の情報についてしたり顔にコメントする専門家(らしき人々)より、その愛称を商標登録した青年に残された時間は多く、能力を発揮しうる領域は広いはずなのですから。
法律のフィクションを最大限利用して造られたカリスマの城を支えていたのも彼らが入会しているマスコミクラブであり、功罪は決して少なくないはず。
ウディ・アレンはラストでもう一度同じジョークを繰り返す。老夫婦がホテルのレストランで出された食事の不味さに閉口するもう一つのジョークと共に。私たちは口煩いホテルから出るべきなのでしょう。
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
ウディ・アレン コレクションBOX